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CLAN TALK

2024.09.09

【連載】ただの渋谷で飲んでるご機嫌な人かと思いきやなんかめちゃくちゃ面白くて実はすごいんですけど誰ですかあなた?

vol.2 織田笑里さん(404 Not Found ジェネラルマネージャー)

街で見知らぬ、でも気になる人に声をかけたことってありますか僕はありません(早)。

あれって、できる人とできない人、くっきり分かれると思うんです。僕には無理、絶対無理、と思ってました。

でもね、前回の小川弘純さんの話を聞いて、ありかもしれないなと思ったんです。

しかもここは、見知らぬ人への声かけを推奨している「Shibuya Sakura Stage」4Fフロアの「サクヨン」ですもん。やるなら今でしょ!ここでしょ!ということで、スタジオで何やらしている女性に、勇気を出して話しかけちゃいました。

こんにちは一。

「こんにちはー。こっちにいらっしゃいますか?」

えっ?いいんですか?

「いいですよ。私、織田と言います。織田笑里です」

山村です。いやぁ、うれしいなぁ。今日はなぜここに?

「実は私、この『404 Not Found』って場所で働くことになったんです」

そうなんですね。じゃあ渋谷には毎日来てるんですね。

「だいたい毎日いますよ」

ここまだ新しいし、駅からもすぐだし便利ですよね。ちなみに織田さんにとって、渋谷ってどんなイメージですか?

「うーん、なんて言うか……ちょっと切なくて好き、って感じなんですよね」

せせ切なくて好き!?(なぜか興奮)どどどういうことですかそれ?

「渋谷の裏路地を歩いてると、学生の頃を思い出すんです。普段はそんな思い出さないのに、当時自分が悩んでたことなんかも、ふと降りてくる、みたいな」

ってことは、10代の頃から親しみのある街なんですか。

「そうですね。中学の時からですね。私、すごい映画が好きで、月に2回ぐらいは友人と一緒に渋谷に映画を観に来てたんです。なんかちょっと背伸びしてる感じもよくて。で、映画の帰りに109の地下のソニプラ(SONYPLAZA。現PLAZA)で文房具を買って帰る、みたいな。

あぁ、ソニプラ!ありましたねー!

「高校生になると、通ってた塾がちょうどここ桜丘にあったんですよ。ハチ公側とは違う佇まいで『B面の渋谷』みたいな感じがすごく気に入ってました」

B面の渋谷かぁ。いい表現だなぁ。で、大人になってからは?

「社会人になって、テレビ局に勤めはじめたんですけど、少し自由になるお金ができたんで、渋谷の公園通りのところにあるカフェにけっこう通ったり。当時はカフェブームだったので。あと音楽も渋谷系とかが出て来て、カルチャーが生まれる街としてフィーチャーされてた時期だったので、自分の中で渋谷がアップデートしていく感覚がありました。とにかく思い出がいっぱい詰まってる街です」

そういう思い出の中に、せせせ切なさもあるってことですか?(そのワードにやたら食いつく)

「そうですね。街はもちろんアップデートしてるんだけど、自分がアップデートされていくにつれて街の見え方も変わる、みたいなことも含めて、渋谷って聞くと、ちょっとノスタルジックというか。あの頃の自分がそこにまだいるような気にもなるし、アップデートされた自分もここにもいる、みたいな不思議な感覚があります」

いやぁ面白い。そんな渋谷にまたご縁ができたってわけですね。

「そうなんですよ。それでいうと、また昔の話になっちゃうんですけど」

もちろん、どうぞ。

「小さい頃、私は名古屋に住んでいて。親の転勤で上京して、初めて渋谷に連れてってもらったんですね。その時、見たこともないほど大量に人がいたから、父親に『今日は何かあるの?』と聞いたんですよ」

大きなお祭りとかがあると思ったわけですね。かわいい。

「それで今改めて思うのは、多分渋谷って何かがあるから行くんじゃなくて、何かに出会えるかもしれないから行く街なんだろうなと」

なるほど!

「何かに出会いたい人たちが実際にことを起こして、そこに来た誰かと出会って、という連鎖みたいなのが起こってるんじゃないかなって。そこが渋谷の街の可能性でもあるし、新陳代謝し続けてる理由でもあるのかなぁと」

ふむ、そうかもしれない。

「あと渋谷って、クリエイターやアーティストが住んでる街とか言われてるけれど、別にビジネスとかけ離れてるわけではなくて。ある意味カテゴライズされた世界だけじゃなくて、混ざり合っているから面白いわけで」

渋谷自体がそもそも、いろんな側面を持っている街ということですね。

「それって、人間の本質みたいな話にも似てて。同じ人でもバラエティー番組が観たい時もあれば、静かなバラードみたいな曲を聴きたい時もあれば、なんなら沈黙の世界にいたい時もありますよね。そういういろいろなものが混ざり合うことによって何が起こる、その未知数の感じが、私は渋谷で働いていて面白いなって思う理由でもあるんですよね」

そんな織田さんこそが渋谷的ですよね。胸キュンな10代の頃の話をしてくれたかと思えば、いきなりキレキレの渋谷論も展開してくるし。っていうか、ここで何をやってるんでしたっけ?

「ここ『404 Not Found』の展示エリアと物販エリア、スタジオ、キッチンを全部取りまとめるゼネラルプロデューサーという肩書きをいただいてるので、日々何か新しいクリエーションがされたり、何かが発表されたりする場所を他のメンバーと一緒に作っていく感じかなぁと」

じゃあ、ここと何か関わりたい!と思ったら、織田さんに言えばいいんですかね。なんか審査の基準とかってあるんですか?

「審査して落とすとか、採用するとかを決めたいわけではなくて。なんていうか、話をしていくうちに『これは熱量の高いプロジェクトや作品になるぞ』っていうのが分かったら、誰かとくっつけて始動させるとか、そこに資金が必要だったら、企業にお声掛けして一緒に作るとか。そういうことをマッチングして実行する。これが、同時多発的に起こっていくといいなと思っています。最終的には私が何もしてないのに、この場で会った人たちが日々何かやって。5個あるテーブルで、それぞれみんな違うプロジェクトの作業をしていて、できたものが隣の物販エリアで売られていて、それにまつわるエピソードをスタジオで誰かがトークして、みたいなことがずっと回っていくみたいなことが理想なんですよね」

聞いてるだけでワクワクしてきました。

「今、私の中では『この人とこの人は、きっと出会った方がいいのにまだ出会えてない!』みたいなことがなんか大量発生してて。ここに来る人が100人いたとしたら、全員そういう人たちとのコネクションを持ってるはずで。そういうの、全部ここに集まったらいいじゃん、みたいな」

なんと、まじかー!

「この人とこの人が会ったら何か面白いことが起きそうだな』思っても、引き合わせる時にわざわざごはんをセッティングするじゃなくて、もっとカジュアルに『あそこ行ったら今日会えるから、ちょっと10分だけ話そう』みたいなことができる場になったらいいな、と思って。そのための場と環境とがあるので」

いろんな人の拠り所、みたいな感じでしょうか。

「そうですね、誰もが何かの拠り所があるのは、理想だと思うんです。家族もそうだし、パートナーだったり、友達もそうだけど、それって別にひとつじゃなくてもいいと思うんです。もっとチャレンジできたり、なにか自分らしさを追求できたりする、そういう拠り所となる居場所を作りたい、って言うとちょっと大げさですけど」

そこで見守ってくれるような立場でもあるんですね。織田さん、ぴったりすぎるかも。

「あと私、お料理するのがすごく好きで。しかも単に自己満足だけじゃなくて、誰かの助けになるような料理なら、ずっとしていたいと思うんですよね。で、これは私の偏見ですけど、やっぱりクリエイターと呼ばれる人たちって、ごはんを食べるというよりも、どこか『カロリーを摂取する』みたいな感覚の人が、一定数はいるんじゃないかと思ってて。そんな彼らの創造力が、味覚から広がっていったらいいなと。美味しいものを食べた時の感動が、間接的にでも何か作品に反映されることを、どこかで期待してるんです」

なるほど!そのために、美味しいものを作ってふるまうためのキッチンもあるということなんですね。

「そうですね。ただもちろんそれだけでなく、自分が今までやってきた経験とか、人脈とかを、若い世代の人たちに還元できて、悩んでいることも、何かのきっかけで、道が開けるとかはおそらくあって。そういうことのために、残りの人生を使えたらなと思ってるんです」

なんと殊勝な!織田さんが女神に見えてきました。めちゃ楽しみにしてます。ありがとうございました!

「はい、ありがとうございました!また、いつでも!」

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山村光春

編集者/コピーライター

山村光春

食やライフスタイル、海外などのジャンルにおける編集・執筆・コピーライティングを手がけるBOOKLUCK主宰。手がけた書籍は「眺めのいいカフェ」「カフェの話。」(アスペクト)、「おうちで作れる カフェのお菓子」(世界文化社)、「MY STANDARD 大人の自分定番」(主婦と生活社)など多数。編集教室「やさしい編集室」主宰。京都芸術大学講師。現在、福岡と東京を行ったり来たり。

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